コラム

子どもの矯正は何歳から? 相談の時期を矯正歯科医が解説します

「子どもの矯正は何歳から始めればよいですか」というご質問をよくいただきます。結論から言うと、始める時期は年齢だけでは決まりません。歯の生えかわりの段階と、あごの成長を見て判断します。最初の相談の目安は、前歯が生えかわる6〜8歳ごろです。このコラムでは、その理由を順にご説明します。

結論:年齢ではなく、歯の生えかわりの段階で判断します

子どもの歯並びは、乳歯から永久歯(大人の歯)へ生えかわる間に変化していきます。歯の生えかわりの進み方や、あごの成長には個人差があります。同じ年齢でも、お口の状態は一人ひとり違います。たとえば、下あごが最も大きく成長する時期は、平均すると女の子で11歳ごろ、男の子で13歳ごろですが、人によって1年以上前後します。

そのため矯正歯科では、「何歳か」ではなく「歯の生えかわりがどの段階にあるか」を基準に、治療が必要かどうか、必要な場合はいつ始めるかを判断します。

歯の生えかわりには3つの段階があります

  • 乳歯だけの時期(乳歯列期):6歳ごろまで。
  • 乳歯と永久歯が混ざっている時期(混合歯列期):6歳ごろから12歳ごろまで。前半に前歯と6歳臼歯(第一大臼歯)が生え、後半に犬歯と小臼歯が生えかわります。
  • 永久歯がそろった時期(永久歯列期):12歳ごろから。

子どもの矯正(一期治療)は、主に2つ目の混合歯列期に行います。目的は歯を一本一本綺麗に並べることではなく、あごの成長のバランスを整えること、歯並びに影響する癖を改善すること、成長に悪い影響を与えるかみ合わせを改善することです。

最初の相談は、前歯が生えかわる6〜8歳ごろが目安です

前歯が永久歯に生えかわるこの時期には、次のことが確認できるようになります。

  • 上下のあごの前後の位置関係(受け口や出っ歯の傾向がないか)
  • 前歯のかみ合わせ
  • 永久歯が並ぶスペースが足りているか

歯は、上から見るとU字の形に並んでいます。この歯の並び(歯列)の横幅も、この時期に自然に広がります。日本の子どもを3歳から20歳まで追跡した研究では、乳歯の犬歯と犬歯の間の幅が、前歯が生えかわる時期に約2mm広がっていました(自然な成長を観察した研究で、治療の効果を比べたものではありません)。

図1 上あごの乳歯の犬歯の間の幅(3〜11歳)

前歯が生えかわる時期2426283046810年齢(歳)mm29.06歳 25.08歳 27.3前歯が生えかわる時期2426283046810年齢(歳)mm29.06歳 25.08歳 27.3
出典:辻野・町田(1997)表2より作図。矯正治療をしていない日本人28名の平均で、歯ぐきのきわで測った幅です。縦の目盛りは24mmから始まっています。

この時期の相談は、相談したら必ず治療を始める、というものではありません。現在の状態を確認し、治療が必要か、必要であればいつ始めるのがよいかを判断するためのものです。

ただし、前歯のあたりの歯列の幅を広げる治療は、できる時期が限られます。犬歯と犬歯の間の幅は、前歯が生えかわるこの時期に自然に広がり、永久歯の犬歯が生えたあとは、広がらずに少しずつ狭くなっていくためです(図1と、このあとの図2)。当院では、幅を広げる治療が必要な場合は、この時期に行うのがもっともよいと考えています。この時期を過ぎると、同じように広げることは難しくなります。

永久歯の歯列の幅は、場所によって変わり方が違います

同じ研究では、永久歯が生えてから20歳になるまでの、歯列の幅の変化も報告されています。この研究では、場所によって、広がる部分と狭くなる部分がありました。

図2 上あごの永久歯の歯列の幅(6〜20歳)

26283032343668101214161820年齢(歳)mm36.36歳臼歯の間35.5第二小臼歯の間29.6第一小臼歯の間26.6犬歯の間26283032343668101214161820年齢(歳)mm36.36歳臼歯の間35.5第二小臼歯の間29.6第一小臼歯の間26.6犬歯の間
出典:辻野・町田(1997)表2より作図。矯正治療をしていない日本人28名の平均で、歯ぐきのきわで測った幅です。線の始まりは、その歯が生えた時期です。右端の数字は20歳の幅(mm)。縦の目盛りは26mmから始まっています。

上あごの場合、6歳臼歯(第一大臼歯)の間は20歳にかけてゆるやかに広がる一方、第一小臼歯や犬歯の間はむしろ狭くなっています。歯列の幅は、どこも同じように広がり続けるわけではなく、場所によって変わる向きも時期も違います。

一方、6〜8歳ごろ(前歯が生えかわる時期)は、図1のとおり、乳歯の犬歯の間の幅が自然に広がる時期です。当院では、この自然に広がる時期が、歯列の幅を広げる装置(拡大装置)を使うのに適したタイミングだと考えています。

このような自然な変化のパターンがあること自体は、長期間にわたる観察で確かめられています。ただし、これは治療に生かせることが証明された結果ではありません。「体の中で自然に起こりやすい変化」と「それを治療に利用できると証明されていること」は、分けて考える必要があります。

年齢にかかわらず、早めの受診をおすすめする状態

次のような状態は、成長に影響することがあるため、気づいた時点でご相談ください。

図3 早めの受診をおすすめする状態

  • 下の前歯が上の前歯より前に出ている口元を横から見た絵
    受け口(反対咬合)下の前歯が上の前歯より前に出ている
  • 下の歯ならびが左右にずれている口元を正面から見た絵
    かみ合わせの横ずれ(交叉咬合)かむとあごが左右どちらかにずれる。上下の奥歯が横にずれてかんでいる
  • 上の前歯が大きく前に出ている口元を横から見た絵
    前歯の大きな突出(上顎前突)上の前歯が大きく前に出ている。転んだときに前歯をぶつけやすくなります
  • 前歯が重なってでこぼこに並んでいる口元を正面から見た絵
    歯の重なりが強い(叢生)永久歯が並ぶスペースが明らかに足りない
お口の癖口が開いていることが多い、指しゃぶりや舌を前に出す癖が続いている
  • 口が開いている子どものイラスト口が開いていることが多い
  • 指しゃぶりをしている子どものイラスト指しゃぶり
  • 舌を前に出している子どものイラスト舌を前に出す癖
絵は例です。少し分かりやすく描いています。近いと感じたら、気づいた時点でご相談ください。

早く始めれば良い結果になる、とは限りません

出っ歯(上顎前突)の治療については、7〜11歳ごろに始めて永久歯がそろってからもう一度治療する方法(2段階)と、12〜16歳ごろに1回で治療する方法(1段階)を比べた研究が複数あります。それらをまとめた報告(コクラン・レビュー、2018年)では、治療が終わった時点の前歯の出ぐあいや、上下のあごの位置関係に明らかな差は認められませんでした。一方、前歯のけがは、早い時期に治療したほうが少ない傾向でした(根拠の確かさは低〜中程度とされています)。

このように、早期の治療には利点と限界の両方があります。一期治療を行っても、永久歯がそろったあとに歯を並べる治療(二期治療)が必要になることがあります。お子さまの状態によっては、「今は治療せず、成長を見守る」という判断になることも少なくありません。

相談で確認すること

相談では、歯の生えかわりの段階、上下のあごの位置関係、かみ合わせ、お口の癖を確認します。そのうえで、次のいずれが適しているかをご説明します。

  • 今は治療せず、定期的に成長と歯並びを確認する
  • 永久歯がそろってから治療を検討する
  • 成長期の今から治療を始める

治療を始める場合は、事前に検査と診断を行い、治療の方法・期間・費用・主なリスクをご説明します。

石田歯科医院の矯正相談

大阪府南河内郡太子町の石田歯科医院では、日本矯正歯科学会 認定医の中井朋子が、お子さまの歯並びとかみ合わせの相談をお受けしています。相談は無料(30分)で、相談日は原則 毎月第2土曜です。相談のみで終わっても問題ありません。

くわしくは子どもの矯正(小児矯正)のページと、矯正の無料相談のご予約をご覧ください。

参考文献

  • 辻野啓一郎・町田幸雄(1997)小児歯科学雑誌 35(4):670-683(未治療の日本人28名を3歳から20歳まで追跡した歯列の幅の研究)
  • Nahhas RW ほか(2014)下あごの成長時期に関する縦断研究(成長のピークは平均で女子約11歳・男子約13歳。個人差が大きい)
  • Batista KB ほか(2018)コクラン・レビュー「上顎前突の小児に対する矯正治療」(ランダム化比較試験27件)

監修:中井朋子(歯科医師・日本矯正歯科学会 認定医)/最終更新:2026-10-09

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